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賃貸と管理の双方を行う業者、賃貸のみ管理のみ行う業者など業態は様々あります。
どちらが良いかは判断しにくいですが、いずれにしても会社の大小に関係なく、
その会社の体質による入居率の影響は大きいと言えます。
一つの会社の物件だけを診てみても、管理状況が良好な物件もあれば、
そうでない物件もあります。
利益の出る物件、利益をもたらせてくれるオーナーに対しては、優遇され、
そうでない物件では、現地が荒れ放題というのもあります。
賃貸営業においても、売り上げ必須ですから、入居申し込みを受けやすい物件には、
力を注ぎ、そうでない物件には、無駄な労力を使わないというのは当然かもしれません。
■管理会社を決めるポイント
その管理会社が管理している物件を見に行ってむることでしょう。
それも、1物件だけでなく、できれば数物件以上、多くの物件をみることで、
管理会社の体質が見えてきます。
ワンルームで専有面積が20㎡位の狭いタイプは人気がありません。
ファミリー物件では、50㎡位の3DK(和6・和6・洋6・DK6)なども人気がありませんし。
当然、古い間取りタイプの2K(和6・和4.5・K3)、玄関からベランダまで続き間取りの2DK
なども不人気です。
★間取り変更で魅力を付加する
和室から洋室への変更、3DKから2LDKへの変更などで、入居希望者の要望に
答えることも必要でしょう。
★設備について
ワンルームにおけるユニットバス(バスとトイレが混同)は、入居者に嫌われるケ
ースは以前から見受けられます。また、浴室に洗面がある物件も入居に影響をあ
たえます。新築の物件は設備が充実していますので、築年数か経過して設備が古
くなった物件の競争力はやはり落ちてしまいます。
☆入居率改善
設備の充実は、入居率改善に結びつきますが、全室となると費用もかかります。
入居者の中には、喜ばれる場合とそうでない場合もあるかと思います。空室となっ
た部屋から順次すすめていくのがいいでしょう。
・エアコン
以前のファミリータイプにはエアコンがついていないのがあたりまえでしたが、8
年位前から最低一基は、エアコン設置の物件が増えてきました。福岡市は、都市
の規模からみても、案外家賃相場が安い地域です。それに起因するのか わかり
ませんが、エアコンを含め設備にはあまりこだわらない傾向があるかもしれませ
ん。ファミリータイプへ引越しする入居者層は、エアコンを持ってくる人も多く、エア
コンノの設置は必要ないと思えるかもしれませんが、最低一基は設置しておきた
いものです。
・収納
収納スペースは、入居希望者にとって意思決定において重要な要因となります。
しかし、建築時点で収納スペースは確定されており、狭い専有面積の中で部屋を
なくしてまで収納スペースを確保するのは、あまり意味のないことです。では、どう
するかとなると、現在の間取りから空間を探し、小物を収納するスペースを作るな
どがよいでしょう。まず、第一に考えられるスペースとして、トイレのタンク上部に小
物入れを作る。これですとあまり費用をかけることなく、入居者にとって喜ばれる設
備となります。また、古い物件には、下駄箱が設置されていないものも多く見受け
られますので、下駄箱、できれば鏡などの付いたものを設置するのもいいでしょ
う。
・水道設備
ツーレバーの蛇口は使いにくいものです。できればシングルレバーに交換するの
がよいですね。
・防犯
特にワンルームの場合、1階には防犯シャッターが付いているのが、入居者にと
って安心です。また、通路部分にある窓には面格子も必要でしょう。オートロックに
ついては、入り口部分だけの防犯であり、実際は通路腰壁より物件内に入れるな
ど、実際に安全かどうかは疑問なものもあります。ただし、エントランスにオートロ
ックがあったほうが、高級というイメージはあります。鍵については、ピッキング対
応のユーナインキーに交換している物件が多く、入居入れ替え時に依頼すれば問
題ないでしょう。
・室内照明
日当たりの悪い部屋など、あらかじめ照明を設置しておいくのがいいかもしれま
せん。空室となっても電気を止めてしまわず、案内用にブレーカーをあげると、全
ての照明が点灯するようにセットしておくと、部屋の暗さが目立ちにくくなります。
デザインされた照明も、部屋の魅力を引き出してくれます。
・通路灯
通路天井にある通路灯には、夏になると虫が寄ってきて、通路天井は、虫害に
より、汚損してしまいます。こういった場合、天井通路灯をなくし、通路腰壁部分に
照明を移設、足元灯をするのがいいかもしれません。
・その他
換気扇の交換、シロッコファンタイプへの交換がよいでしょう。
(シロッコファンとは、遠心力で換気をするタイプの換気扇のこと。静圧がかかっ
たときでも換気量を確保できるので、気密性の高い住宅に適しているため、最近
の住宅にはプロペラファンより多く採用されるようになってきました。)
・インターネット対応にする。
・ユニットバスからシャワールームに変更。
・キッチンの交換
・TV付インターホンへの交換
いずれにしても費用対効果の見極めが肝心です。
★賃貸条件について
家賃が適正であるか、敷金、保証金、礼金、そして共益費の設定など調査しま
す。また、将来的に予測される家賃等の査定を行います。
☆入居率改善
募集家賃が相場に比して高い場合、家賃を下げて募集する。入居資金を抑えた
い希望者が多くなった傾向から、礼金をカットする敷金、保証金設定を下げるなど
が対策として挙げられます。しかし、家賃を下げれば高い家賃で入居している既
存入居者とのトラブルも起きます。既存入居者の苦情に対しては、契約に基づい
た家賃ですから、法的には何ら問題はありませんので、家賃減額要望は聞き入れ
る必要はありません。ただ、心配となるのは、既存入居者の不満が退去に繋がっ
てしまうことです。
賃貸オーナーの中には、総合的に経営判断され、全室の家賃を下げる方もいま
す。それが起因してか、結果、退去者が少なく、満室経営となっているケースもあ
ります。こういった判断については、改善を含めた将来における募集家賃の予測
からキャッシュフロー管理が重要なポイントになるかと思います。
家賃の減額は、入居者の質を下げる傾向もあり、家賃滞納の併発の恐れもあり
ます。また、家賃を下げるだけで入居率が改善できる物件であれば、いいのです
が、入居需要が低下し、借り手市場となった最近の賃貸市場においては、家賃減
額が入居率に反映しにくいケースも多く見受けられます。
最近はインターネットで賃貸物件を検索する方が増えています。検索する場合
、家賃の安い方から一覧に表示されますので共益費、駐車場を込みの家賃とする
より、家賃と分離することで検索後の物件一覧に早い段階で表示されやすい。あ
るいは、6万円の募集家賃を5万9000円とすることで家賃が5万円台の物件一覧
に反映される。おなじく、家賃5万円台の物件でも、5万7000円では家賃が約6万
円の物件と5万3000円では、ほとんど家賃5万円位の物件と、人間心理を左右さ
せる家賃設定も取り入れられています。
家賃が下落した今の市場では、これ以上、いくら家賃をさげても意味のない物件
が増えてきているのが現状と言えます。
★建物構造と築年数について
築年数が経過し、古くなった木造アパートの入居率改善は、単純に困難なケー
スは多く見受けられます。木造の共同住宅は、特に2階からの音で騒音トラブルな
どを引き起こすなど弱点はあります。しかし、高温多湿な日本においては、有効な
構造と思えます。
S造(鉄骨造)・RC造(鉄筋コンクリート造)以上の構造であれば、耐用年数も含
め、 築年数が経過していても、改善の余地は大きくなります。S造においては、壁
がサイディング・ALC問わず、建物の管理状況が大きく左右します。外壁塗装を全
く行っていない、ALCに劣化が激しいなどで、雨漏りを誘発している物件は雨漏り
の原因をみつけるのに結構苦労します。ALCへのタイル貼りは、見栄えのいいも
のですが、築年数が経過し、高層かつ街中にあるものは、タイルのはがれに少し
心配を抱きます。
築後10年位までは、立地、建物配置に多少の無理があっても入居状況はどうに
か維持できるでしょうが、新築物件が近隣に建設され、しかも家賃が安いとなれ
ば、 物件競争力は、格段に低下していまいます。
以上、様々な物件状況から、適切な提案を行い、入居率改善への足がかりとな
る指針が物件調査のポイントと言えます。
★配置について
収支を優先し、敷地一杯に建築された物件は、駐車場も当然少ないく、もしくは、
全くない。また、駐輪場も十分に確保されていない。せめて駅まで徒歩7~8分程
度であれば、どうにか許容範囲かもしれませんが、そうとでない物件も数多く存在
しています。あるいは、建築当初、南側敷地が空地だったけれど、その後建物が
建築され、日当たりが悪くなったのだろうと思える物件も多く存在します。
建築会社による「儲かりますよ」の言葉は、非常に響きが良いものですが、アパー
ト、マンション経営は、基本的にローリスク・ローリターンの事業ですから、 また、入
居者様あっての事業ですから、それに逆行した建物配置は、問題が多いでしょう
ね。しかし、現に建物が建っている以上、少しでも改善にむかう対策を講じるのは
必要です。
★立地について
物件がいくら都市中心部に位置し、交通・買い物の便に優れていても接道、地
形、隣地建物状況により、立地条件として適正でないものも多く存在します。逆に
少しばかり不便かなと思える立地であっても、物件までの道路状況、敷地の広さ
、地形、そして周辺環境により、さほど悪くはないという物件もあります。
まず最初に言えることは、入居率改善が安易な物件とそうでない物件があること
です。立地、配置、間取り、設備、建物構造と築年数、賃貸条件、管理状況など現
地に出向き調査を行います。その他、入居募集状況を確認します。アクリル看板、
入居募集のぼり、垂れ幕の設置などから賃貸会社・管理会社の募集に対
する姿勢が伺えます。
入居率改善の調査は、あらゆる角度から判断する必要があることから協力会社
へも調査を要請し、客観的判断を基に、物件を見極め、その結果を賃貸オーナー
様にお伝えします。
ちなみに入居率低下の原因は、以下の3点があるかと思います。
①単なる物件競争力の低下
②賃貸・管理会社の姿勢
③賃貸オーナー様の経営に対する考え方
①物件競争力の低下、②賃貸・管理会社の姿勢は、現場に行けば把握できま
す。そして、ありのままの現状を賃貸オーナーに報告致します。その現状が決し
ていいとは言えない場合、業者にだけ問題があるかと言えば、そうでもないケース
もあります。
それは、③賃貸オーナー様の経営に対する考え方に全てが起因していることも
あります。賃貸オーナー様が物件近くに居住していながら、収益を生み出す物件
の状況を見にいくこともなく業者任せであったり、適正家賃への変更に応じること
なく、退去時の補修工事費用も捻出しない、しかし、入居が決まらないことについ
ては業者に対し、厳しく追求するなどで業者も策を講じようがない、意欲もなくなっ
ているなどです。
また、賃貸オーナー様が年配であったり、遠方に居住しており、現場に出向くこと
が困難なケースなどでは、あきらかに業者の手抜き管理が入居を阻害しているこ
ともあります。
いずれにしても現場を診ることから賃貸経営の改善が始まります。